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を多く含まない物質から直径3.1mmの孔を通して排水するには、30分で充分と言える。よって、排水時問は30分とした。
2.4 液状化物質判別試験の結果
スラグに関する試験結果を表1に、その際の粒径分布を図3及び4に示す。実験結果より、粒径分布と排水後の飽和度の間には、明確な相関があることが分かる。
試験法の妥当性を評価するため、流動水分値が計測されている物質についても液状化物質判定試験を行った。参考のため流動水分値を含め、試験の結果を表2に示す。これらの物質から排出される水の量は非常に少なく、飽和度は排水後も高いままであった。よって、この試験のクライテリアを用いることにより、これらの物質は全て液状化物質であると判定される。このことから、液状化物質判定試験は、BCコードに記載されている運送許容水分値決定法からみて、一貫性を保っていると結論できる。
2.5 試験結果の適用範囲
物質の生成過程の観点からは、付録1の3.4(i)項に示した条件を満たす物質についてのみ、試験結果を適用できることは当然である。
液状化物質判別試験の結果は、物質の真密度及びD10の影響を受けるため、試験結果の適用範囲を明らかにするためには、これらの物性値に関するクライテリアを決定する必要がある。
2.5.1 真密度のクライテリア
試験結果の適用範囲に関する真密度のクライテリアを調べるため、ニッケルスラグとカッパースラグのそれぞれについて、時間をおいて試料を10回抽出した。ニッケルスラグの試料の真密度の平均値は3,029kg/m3、標準偏差は12kg/m3(平均値の0.4%)であった。カッパースラグの試料の真密度の平均値は3,627kg/m3、標準偏差は19kg/m3(平均値の0.5%で)あった。
真密度の分布は正規分布になると仮定し、その平均値をμ、分散をσ2として、正規分布をN(μ、σ2)で表す。この場合は、二つの値の差の分布もN(0,2σ2)で表される正規分布となる。従って、二つの値の差の95%は、±1.96×21/2σ〜±2.8σの間に入ると考えられる。この範囲は、ニッケルスラグ及びカッパースラグについては、それぞれ±1.2%±1.4%となり、これらの範囲におさまる程度の真密度の違いは有意では無いと言える。そのため、真密度に関するクライテリアは、付録1の3.4(ii)項の通りとした。
2.5.2 粒径分布のクライテリア
D10がより大きい物質は、保有できる水分はより少なく、液状化が発生し難いことは明かである。そのため、粒径分布については付録1の3.4(iii)項に示すクライテリアを設けた。
3 液状化可能性に関する粒径分布のクライテリア
3.1 粒径分布を示すパラメータ液状化現象の支配的要因である透水性の観点からは、クライテリアは有効径D10に基づいて決定するのが適当である。
3.2 最大粒径

 

 

 

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